総合開館30周年記念
恵比寿映像祭2025

恵比寿映像祭では、映像という言葉を限定的に用いるのではなく、映像をめぐる様々な選択肢に目をむけ、多様化する映像表現と映像受容の在り方を、あらためて問い直してきました。芸術と映像が人にもたらしうるオルタナティヴな価値観(ヴィジョンズ)の生成を促し、存続させていくためのプラットフォームとして、発信を続けています。毎回テーマをかかげ、「映像とは何か」という問いを投げかけながら、国内外の映像表現を紹介する歳月のなかで、映像を取り巻く状況は大きく変化し、映像を規定する枠組みやテクノロジーも多様化しています。

このような映像をめぐる社会状況の変化のなかで、引き続き「映像とは何か」という問いを深めていくために、恵比寿映像祭2025では、第2回を迎える「コミッション・プロジェクト」(3階展示室)で、選出された4名のファイナリストの新作を展示します。加えてテーマと結びついたいくつかの新たな試みを開始し、映像祭の役割をさらに強化していきます。

会期
2025年1月31日(金)~2月16日(日)[15日間] 月曜休館
※コミッション・プロジェクト(3F展示室)のみ3月23日(日)まで
会場
東京都写真美術館、恵比寿ガーデンプレイス各所、地域連携各所ほか
時間
10:00–20:00(1月31日~2月15日/最終日16日は18:00まで)
入場料
無料
※一部のプログラム(上映など)は有料
※諸般の事情により、開館時期・内容等を変更する場合がございます。展覧会等の詳細、最新の情報は本ホームページをご確認ください。

Docs —これはイメージです—

ドキュメント(document)は書類や文書を意味し、事実に基づく情報の記録(言葉はもとより写真・映像などのイメージを含む)を指します。そして、これを形容詞化したドキュメンタリー(documentary)という言葉はドキュメント的という語義を持つだけでなく、記録映画を意味する名詞としても使用されます。

実写映画の起点がリュミエール兄弟による、工場から出てくる人々を記録した《工場の出口》(1895年)であることはよく知られています。公開時、人々は日常で目にする光景が、あたかも実際にその場でその出来事が起こっているかのように、眼前に記録・再生されることに驚愕しました。この発明から130年を経た現在、誰もが写真や映像を通じて生活を記録し、共有することが当たり前になっています。他方で、写真は画像へ、映像は動画へ、いわば従来より自由に制御可能なデジタルデータへと拡張し、事実とそれを表すイメージとの関係はより複雑で曖昧なものになっているのではないでしょうか。東京都写真美術館「総合開館30周年記念 恵比寿映像祭2025」では、これらのメディアの変容に着目し、幅広い作品群をイメージと言葉からひも解くことで、あらためて「ドキュメント/ドキュメンタリー」の再考を試みます。

PROGRAM

開催プログラム

※個別プログラムの詳細情報は1月上旬発表予定です。上記の情報は現時点での概要となります。

コミッション・プロジェクト|東京都写真美術館3F展示室

東京都写真美術館の新たな事業として、恵比寿映像祭2023から始まった、日本を拠点に活動するアーティストを選出し、制作委嘱した映像作品を“新たな恵比寿映像祭”の成果として発表する「コミッション・プロジェクト」。恵比寿映像祭2025では、昨年度決定した4名のファイナリストである小田香、小森はるか、永田康祐、牧原依里による新作を、総合テーマ「Docs —これはイメージです—」と連動させながら3階展示室で具現化します。

展示|東京都写真美術館2F・B1F展示室

総合テーマ「Docs —これはイメージです—」を踏まえ、ドキュメンタリーの視点から写真や映像を主とした様々な表現を展示し、「ドキュメント/ドキュメンタリー」を、言葉とイメージの関係性を通して再考します。東京都写真美術館2階展示室ではパフォーマンスや身体性と関連する作品群を通して、時間を記録することにも焦点をあてながら、文化的多様性やアーカイヴについて掘り下げていきます。地下1階展示室では、様々な情報で溢れ、目に見えるイメージが真実であるかどうかを検証しにくい現代において、あらためてイメージと神話や文字と言葉に関する作品を展示することで、「ドキュメント」の定義について問いかけます。

上映|東京都写真美術館1Fホール

東京都写真美術館1階ホールを会場に、恵比寿映像祭のために特別に編まれた上映プログラムを連日お届けします。劇映画から、実験映画、ドキュメンタリー、アニメーション、現代美術作品まで、日本初公開作品を含め、国内外から多様な作品が集います。上映後には、監督やゲストを招きトーク・セッションを開催します。

オフサイト展示|恵比寿ガーデンプレイス各所

テキスト、音楽、映像の断片の組み合わせによる制作で知られるアメリカ出身のトニー・コークスの作品を、恵比寿ガーデンプレイスの各所に展開し、訪れた人々すべてに新たな鑑賞体験を提供する屋外作品が登場します。

地域連携プログラム|地域連携各所

地域連携プログラムでは、恵比寿近隣の地域で活躍するアートの担い手がそれぞれの文化施設で選りすぐりの展覧会のほか多彩なイヴェントを開催します。また同時に各施設をめぐるシールラリーを通じて、フェスティヴァルを楽しむきっかけをつくります。シールを集めると記念品がもらえます。この機会にぜひ訪れてみてください。