《Voices of Aliveness》
世界中の誰もが未来に不安を抱いている状況の中では、人は時として何の目的もなく叫んでみたくなる。《Voices of Aliveness》は、人間の叫び声を、サイバースペース上に集合的な記憶としてアーカイヴすることを目的に制作された、声の彫刻である。藤幡が1992年以来取り組み続けてきた、GPSの位置情報と共に記録された動画を3D空間で編集することで、仮想空間と現実空間を結ぶプロジェクト「Field-Works」の中でも、テクノロジーによる記録と記憶の新しい可能性に迫った、シリーズの到達点とも言える。本作では、フランス・ナントの参加者たちが乗った自転車の痕跡と叫び声による記録をサイバースペース上で追体験することで、観客は自らの叫びの記憶とも向き合うことになるだろう。音楽監修の清水靖晃の発案で、参加者自身の名前をモールス信号に変換した楽譜が、叫び声として場所に刻まれ、作家と参加者による共同の開かれた声のアーカイヴが実現している。
《Voices of Aliveness》
2012年
インスタレーション
制作:ナント・サン=ナゼール美術学校
サウンド・デザイン:清水靖晃
技術協働開発: 川嶋岳史