ヴィンセント・ボーイ・カースは、自身の世代であるミレニアル世代に焦点を当て、アイデンティティ、自己イメージ、セクシュアリティなどを探るドキュメンタリーを中心にした活動で名を成した。デジタル時代の文脈におけるこれらの要素や、ミレニアル世代が人間生活の中でどのように重要な役割を果たしているのかを探究。彼自身がインターネットの無限の可能性を扱う第一世代の一人であることから、これらの現象の結果を明らかにするため強い意欲を燃やしている。監督面では、常に形式の構築に挑戦し、かつ遊び心を目指す。その意味で、「現実と非現実とは何か」、「私たちが本物として経験するものは何か」、そして「ドキュメンタリーはどこまで現実なのか、どの程度まで演技なのか」などの問いを視聴者に考えさせようとする。若手監督、カースは、こういった手法の影響から、その独特な視覚言語を築き、フィクションとリアリティの境界線を弄ぶ。監督デビュー作《My First Porn Film》でその思想を体現。社会における成功の定義を疑うドキュメンタリー《Independent Boy》（2017年）はアムステルダム国際ドキュメンタリー映画祭（IDFA）で初上映された。