誰もが経験したことのないパンデミックによって、私たちの日常は大きく変化しました。その中においても、映像はより身近なメディアとして浸透し、社会、政治、経済、文化の変化を映し出すツールのひとつになっています。とりわけ、ソーシャルメディア上のコミュニケーションによって、誰もが複層的な次元で映像体験が可能となった現代は、祝祭的イヴェントから、災害や戦争などの出来事まで、いかなる情報も、一大スペクタクルに見える時代です。*
スペクタクルという言葉は、風景や光景という意味のほかに、しばしば壮大な見世物という意味で使われています。その語源、ラテン語のspectaculum(スペクタクラム)には、光学的な意味と同時に、地震や火山噴火などの天変地異などが含まれていました。19世紀になると、近代国家の誕生とともに、博覧会、写真、映画のなかで、それまでの天変地異は、壮大な風景や見世物として視覚的に再現され、人々に受容されていきます。
第14回恵比寿映像祭では、「スペクタクル後」をテーマに19~20世紀にかけての博覧会や映画の歴史から現代にいたるイメージおよび映像表現について考察します。現代作家による展示や上映、イヴェントに加え、小原真史氏をゲスト・キュレーターに迎えた博覧会関連資料と当館コレクションによる企画や、気鋭の映像作家・遠藤麻衣子によるオンライン映画プロジェクト、さまざまな作品との出会いを拡げる教育普及プログラムなどの新たな構成によって、映像体験の可能性を探っていきます。
READ MORE