固定された視点から描き出されるのは、ありふれたひとつの部屋の中で、同じ営みを延々と繰り返す人々の姿。出たり入ったりを繰り返しながら、少しずつ増えていき、やがて部屋(=画面)を覆い尽くす36人の登場人物は、人生の異なるステージを示すかのようだ。未だデジタル技術のない1981年に、オプチカルプリンターによる合成を用いて35ミリフィルムでつくられた《タンゴ》は、1日16時間、7カ月をかけて完成したという。第55回アカデミー賞短編アニメ映画賞受賞作。
ズビグ・リプチンスキー《タンゴ》1980/シングルチャンネル・ヴィデオ(オリジナル:35ミリフィルム)/作家蔵