19世紀末の映画黎明期の作品の多くが、人間の動きを対象としていたことは偶然ではない。エドワード・マイブリッジが撮影した、モダンダンスの先駆、イサドラ・ダンカンの連続写真は、人間の運動を記録し再現する試みだった。《教えと伝わり》（2016）は、デジタル映像から写真というメディアへ、時代を遡るように、イメージの再現に挑んだスリリングなインスタレーションである。3人の女性が登場するダンスレッスンの場面をもとに、映像と写真の二つのメディアによって構成された本作は、見る／見られるだけに還元することができない、イメージの多様な関係性を映し出す。

石川卓磨《教えと伝わり》2016／インスタレーション／作家蔵
Courtesy the artist and Talion Gallery