アフガニスタンから中央アジア、ロシア、バルカン半島、東アフリカを経て西ヨーロッパへ――。四つの画面から成る映像のクロニクルが描き出すのは、ノースとデ・ヨングが20余年にわたる取材を通じてたどった国際的なヘロインの流通経路と その道筋上に広がる社会の様々な現実だ。急速に進むグローバル化は、豊かな恩恵をもたらす一方で、不都合な 闇の拡がりも助長した。マルチプルな負の連鎖が相互に作用し合うその様態を、《ポピー》（2012）は私たちの眼前に突きつける。

ロバート・ノース＆アントワネット・デ・ヨング《ポピー：アフガン・ヘロインをたどって》2012年／4チャンネル・ヴィデオ・インスタレーション／作家蔵