セルフポートレイトの手法で知られる澤田は、人間の〈内面〉と〈外面〉の相違や関係性を作品化してきた。アンディ・ウォーホル美術館の企画展に際し制作した《Sign/YELLOW MUSTARD》(2015)では、Facebookでの呼びかけを通し、よく知られた商品ラベルを56種の言語に翻訳。ラベルはあたかも人の顔のように、それぞれの言語によって異なる表情を持つ。《FACIAL SIGNATURE》(2015)では、東アジアの女性たちの微細な差異に注目する。マルチプルな肖像群をどう読み取るのか。そこには差異と反復によって形成される社会的・文化的コードがあぶり出される。
澤田知子《 FACIAL SIGNATURE》2015年[部分]/発色現像方式印画/タグチ・アートコレクション蔵, Courtesy of MEM, Tokyo