スペクタクルの博覧会:小原真史企画
19世紀半ばから20世紀前半にかけて、世界中で大小様々な博覧会が開催され、多くの来場者がスペクタクルな祝祭空間に酔いしれた。遠隔地から集められてきた物の展示を通じて大衆が新たな世界認識を得る場となった博覧会は、人と物の大規模な移動によって支えられていた。現代社会に特徴的な様々な事象——グローバリズムやコロニアリズム、レイシズム、消費資本主義、ツーリズム——がより強固な形となって広がりを見せたのもこの時期の特徴である。新型コロナウィルス感染症のパンデミックによって人と物のモビリティに疑問符が突きつけられた今、「博覧会の時代」を省みることは、現代社会における私たち自身の欲望の所在を捉え直す契機となるのではないだろうか。「スペクタクル」をテーマにキュレーターの小原真史の所蔵資料と東京都写真美術館のコレクションを組み合わせた展示を行う。
※東京都写真美術館所蔵出品作品リストはこちら。