《アイヌ・ネノアン・アイヌ》
写真家のラウラ・リヴェラーニと、映画監督でありアーティストの空音央が、2015年から北海道平取町二風谷で取り組んできた長期プロジェクト《アイヌ・ネノアン・アイヌ》。アイヌ民族は、明治時代の同化政策による植民地主義的な歴史の中で、生活の根幹に関わる大きな打撃を受けてきた。他方、もともとアイヌ語は共通の文字をもたず、彼らは語りを通して多くの文化を継承してきた。その歴史のなかで、カメラを向け画に残すこと、記録を言語化していくことに抵抗を感じながら、現代のアイヌの人々に密着し、試行錯誤するなかで生み出された本インスタレーションは、家族のアルバムをめくるように、人々の人生を丁寧に映し出すことで、ドキュメンタリーの可能性を探ろうとしている。