アニミスティック・アパラタス(精霊信仰装置)は、東南アジアの現代アーティストによる映像表現と、精霊信仰的な儀式との親和性を探るキュレーション・プロジェクト。メー・アーダードン・インカワニットとジュリアン・ロスによる共同キュレーションにより、様々な展覧会を開催している。このプロジェクトは、冷戦時代からタイや近隣諸国で行われてきた巡業映写の儀式を研究してきた、メー・アーダードンの経験から発展したものである。
これまで、バーウィック・フィルム・メディア・アート・フェスティバル(BFMAF)(2019年)、NTTインターコミュニケーション・センター[ICC](2020年)などで展覧会を開催している。BFMAFでは、ある種の挑発のかたちとしてサイトスペシフィックな展覧会を行った。もしも現代の映画上映やインスタレーションが、人間以外の存在に捧げられ、それらに呼びかける儀式であるかのようにとらえ直されたなら? あるいはもし、アーティストが作品や自己表現を生み出す者ではなく、相手の心次第の「供物」の作り手であったとしたら?
今回は、これまで同プロジェクトに参加してきた第一線の映像作家たちの最新作を、恵比寿映像祭のための特別企画プログラムとして紹介する。ある者はメー・アーダードンが企画したタイ東北部の芸術的な調査旅行に参加し、またある者はプロジェクトの巡回展で優れた作品を発表してきた。いずれも、アーティストの映像実践がコミュニケーション、関係性、知識をめぐる宇宙論的メディアとして持ちうる可能性について、本プロジェクトの思考を形づくっている作家たちである。
アノーチャ・スウィチャーゴーンポン、シャンバウィ・カウル 、ジュアニータ・オンサーガ、パットンポン・モン・テスラティーブ、リアル・リザルディ、チューン・ミン・クイとフレディ=ナドルニィ・プストシュキンの素晴らしい作品をぜひ堪能してほしい。
ゲスト・プログラマー:メー・アーダードン・インカワニット、ジュリアン・ロス
日時:2月5日(土)18:00- | TALK:メー・アーダードン・インカワニット、ジュリアン・ロス、田坂博子
2月10日(木)18:00-
2月15日(火)15:00-
会場:東京都写真美術館1Fホール
料金:500円(前売) 1,000円(当日)
※詳細は「チケット」ページをご覧ください。
Works
パトムポン・モン・テートプラティープ《LULLABY》
2019年/8分/タイ語(日本語・英語字幕付)
リアル・リザルディ《Tellurian Drama》
2020年/26分/インドネシア語(日本語・英語字幕付)
ジュアニータ・オンサーガ《The Jungle Knows You Better than You Do》
2017年/20分/スペイン語(日本語・英語字幕付)
シャンバウィ・カウル《Mount Song》
2013年/8分
チューン・ミン・クイ+フレディ゠ナドルニィ・プストシュキン《Mars in the Well》
2014/19分/ヴェトナム語(日本語・英語字幕付)
Artist
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パトムポン・モン・テートプラティープ
Pathompon Mont TESPRATEEP
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リアル・リザルディ
Riar RIZALDI
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ジュアニータ・オンサーガ
Juanita ONZAGA
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シャンバウィ・カウル
Shambhavi KAUL
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チューン・ミン・クイ
TRUONG Minh Quý
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フレディ゠ナドルニィ・プストシュキン
Freddy Nadolny POUSTOCHKINE
Programmer
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メー・アーダードン・インカワニット(ゲスト・プログラマー)
May Adadol INGAWANIJ (Guest Programmer)
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ジュリアン・ロス (ゲスト・プログラマー)
Julian ROSS (Guest Programmer)