「キネトスコープ」(レプリカ)東京都写真美術館蔵
1891年にアメリカのトーマス・エジソンと助手のウィリアム・ディクソンによって発明された世界初の映写機の一種。エジソンは、キネトグラフという撮影機とセットでキネトスコープの特許を取得し、1893年のシカゴ万国博覧会にも出品した。キネトスコープは世界的に人気を博し、アメリカのほとんどの街にキネトスコープ・パーラーが設置されたと言われているが、やがて登場するリュミエール兄弟によるスクリーン投影式「シネマトグラフ」に取って代わられ、エジソンもヴァイタスコープというスクリーン方式の映写機に方向転換を行った。「ピープショー」とも呼ばれ、大きな箱のなかにフィルムを装填し、一人で覗き込んで鑑賞する装置だったキネトスコープの人気は、劇場で映画をみる喜びとは別に、PCやスマートフォンで、YouTubeなどの映像コンテンツに熱狂する現代とどこか親和性を持っている。
本展示では、映像作家、石川亮の35ミリフィルム作品《かもめ》(2018年)によって、キネトスコープの体験を再現する。
キネトスコープ(レプリカ)修復:スパイスフィルム(石川亮、南俊輔)