恵比寿映像祭とは
恵比寿映像祭は、2009年の第1回開催以来、年に一度恵比寿の地で、展示、上映、ライヴ・パフォーマンス、トーク・セッションなどを複合的に行ってきた映像とアートの国際フェスティヴァルです。映像分野における創造活動の活性化と、映像表現やメディアの発展をいかに育み、継承していくかという課題について広く共有する場となることを目指してきました。近年では、地域とのつながりや国際的なネットワークを強化し、一層の充実と発展をはかっています。
恵比寿映像祭2024について
恵比寿映像祭では、映像という言葉を限定的に用いるのではなく、映像をめぐる様々な選択肢に目をむけ、多様化する映像表現と映像受容の在り方を問い直してきました。芸術と映像が人にもたらしうるオルタナティヴな価値観(ヴィジョンズ)の生成を促し、存続させていくためのプラットフォームとして、発信を続けています。毎回テーマをかかげ、「映像とは何か」という問いを投げかけながら、国内外の映像表現を紹介し歳月を重ねるなかで、映像を取り巻く状況は大きく変化し、映像を規定する枠組みやテクノロジーも多様化しています。
第16回を迎える恵比寿映像祭2024では、前回から加わった「コミッション・プロジェクト」(3階展示室)とともに、テーマと結びついた、継続的なプラットフォームとしての映像祭の役割をさらに強化していきます。
総合テーマ 「月へ行く30の方法」 30 Ways to Go to the Moon
アメリカのアポロ11号による月面着陸から半世紀以上が経ち、人々が気軽に月へ行くことも技術的に不可能ではなくなりつつあります。しかし、最先端の科学技術や理論以上に、一見それとは結びつかないようなアーティストたちの思考や実践が、新しい発見や創造につながり、月へ向かうための大きなヒントになるかもしれません。
恵比寿映像祭2024では、「月へ行く方法」という命題を、写真や映像を主とした様々な表現によってひも解き、アーティストだけでなく、そこに参加する観客とともに考えていく試みを行います。歴史的作品から現代作品まで、異なる角度からイメージの可能性を探ります。
*総合テーマは、土屋信子「30 Ways To Go To The Moon/月へ行く30の方法」展(2018年)のタイトルより引用
2階展示室では、東京都写真美術館のコレクションを含む、多様な社会的・文化的背景を持った作家たちの映像、写真、資料などを展観し、そこから導かれる集合的知性によって我々の未来の在り方を探ります。また展示室の中央では、連日、パフォーマンス、トーク、ディスカッション、ワークショップなどのプログラムを行い、作家と来場者がコミュニケーションを交わし、ともに思考を重ねていく場を生み出していきます。ひとりひとりが出来事の目撃者や体験者となることで、記録の装置(メディア)、記憶の図鑑となるような鑑賞体験を目指します。
地下1階展示室は、科学や理論では解明しきれない未知なる可能性や思考を示唆する作品やプロジェクトを紹介します。2階を集合知的な空間とするならば、地下1階は、その集合知から学びながらも、さらなる想像力によって飛躍する果てしない未来への旅のスタート地点と言えるかもしれません。
今回の映像祭の特徴の一つは、映像の一回性に着目している点です。映像という複製芸術でありながら、反復や非場所という性質とは正反対である一回性にこだわった作品、パフォーマンスやユニークピース、すべてを目撃(鑑賞)することができないような時間的な奥行きや限界に取り組む作品、また映像制作のプロセスに身体的な行為や思考を作用させることで、その場で完成し、消滅していくような作品を紹介する予定です。
そしてこれまで以上に、上映プログラムと展示プログラムを接続し、双方向の横断を試みたプログラムづくりを展開します。
新たな取り組み
1.対話を生み出すための空間構成とコレクション活用
恵比寿映像祭2024では、映像の一回性に着目した観客との対話を生み出す新たな空間構成の展開を試みます。また、総合テーマ「月へ行く30の方法」の文脈から、現代作品と東京都写真美術館のコレクション作品を結びつけることで、作品の背後にある歴史や思想を遡り、現代を考察していきます。
2.「恵比寿映像祭2024 コミッション・プロジェクト」
恵比寿映像祭2023から始まった、日本を拠点に活動する新進アーティストを選出し、制作委嘱した映像作品を“新たな恵比寿映像祭”の成果として発表する「コミッション・プロジェクト」。恵比寿映像祭2024では、前回特別賞を受賞した2名のアーティストである荒木悠、金仁淑(キム・インスク)による特別展示を、総合テーマ「月へ行く30の方法」と連動させながら具現化します。また会期中には、映像表現に通じた国内外の審査委員5名によって、第2回コミッション・プロジェクトを委嘱する4名のアーティスト(ファイナリスト)を選出し、その結果を発表します。
3.シビック・クリエイティブ・ベース東京[CCBT]との連携
アートとデジタルテクノロジーを通じて、人々の創造性を社会に発揮するための活動拠点「シビック・クリエイティブ・ベース東京[CCBT]」(2022年開設)と連携し、恵比寿ガーデンプレイスの中心に位置するセンター広場で、ジェネラティヴ・アート作品等の特別プログラムの上映を行います。個人によるオンラインの表現と都市空間をダイレクトに結びつけ、映像メディアの都市・社会における可能性を提示します。
開催概要
- 名称
- 恵比寿映像祭2024「月へ行く30の方法/30 Ways to Go to the Moon」 Yebisu International Festival for Art & Alternative Visions 2024 ‟30 Ways to Go to the Moon”
- 会期
- 2024年2月2日(金)~2月18日(日)[15日間] 月曜休館〈ただし12日(月・振休)は開館し、13日(火)休館〉 ※コミッション・プロジェクト(3F展示室)のみ3月24日(日)まで
- 時間
- 10:00–20:00(18日は18:00まで) ※2月20日(火)~3月24日(日)のコミッション・プロジェクトは月曜休館 10:00–18:00(木・金は20:00まで) ※入館は閉館の30分前まで
- 料金
- 入場無料 ※一部のプログラム(上映など)は有料
- 会場
- 東京都写真美術館、恵比寿ガーデンプレイス センター広場、地域連携各所ほか
- 主催
- 東京都/公益財団法人東京都歴史文化財団 東京都写真美術館/日本経済新聞社
- 共催
- サッポロ不動産開発株式会社/公益財団法⼈⽇仏会館
- 助成
- オランダ王国⼤使館/台湾⽂化部/台北駐⽇経済⽂化代表処 台湾⽂化センター
- 後援
- 株式会社TBS テレビ/J-WAVE 81.3FM
- 協賛
- サッポロビール株式会社
スタッフ
- 企画
- 兼平彦太郎(共同キュレーター)、田坂博子(企画統括)、邱于瑄、小林麻衣子、藤村里美
- 企画支援
- 多田かおり、山田裕理、大﨑千野、山﨑香穂、李和晋、村山友佳
- 教育普及プログラム
- 武内厚子、伊藤貴弘、齊藤佳代
- 社会包摂プログラム
- 中野敬子
- インターン
- 杉浦駿介
- 運営統括
- 關次和子
- 渉外
- 藤村里美、邱于瑄、關次和子
- 広報
- 池田良子、平澤綾乃、鈴木彩子
- 地域連携
- 鈴木彩子
- プレス
- 田中真衣/西室知夏/田中侑里子(共同ピーアール株式会社)、西谷枝里子、斉藤陽
- コミッション・プロジェクト審査運営事務局
- 特定非営利活動法人アーツイニシアティヴトウキョウ [AIT/エイト]
- 印刷物・ウェブサイト編集・校閲
- 櫻井拓
- 印刷物・ウェブサイト進行管理
- 江口よしこ、中島ふみえ
- 翻訳
- 池田哲、ジェイミー・ハンフリーズ
- 記録撮影[写真]
- 新井孝明、中川周
- 記録撮影[動画]
- 阿部勝規/黒澤新/黒川貴/丹澤由棋(株式会社アリガトウデザインコンサルティング)、中川周
- 技術監修[展示/ライヴ・イヴェント]
- 田中信至、山元史朗
- 技術支援[展示/ライヴ・イヴェント]
- 岩田拓郎/イトウユウヤ(arsaffix Inc.)
- 映写技術監修/字幕翻訳[上映/展示]/字幕制作[上映]
- アテネ・フランセ文化事業株式会社
- 字幕翻訳[上映]
- 増子操、橋本裕充 、手束紀子、松岡葉子、内海千広、西村美須寿、岩切澪
- 字幕翻訳[展示]
- イアン・マクドゥーガル
- 映写運営[上映/イヴェント]
- 有限会社鈴木映画
- 上映/展示コーディネート
- 小野朋子
- 会場設営
- 株式会社スーパーファクトリー
- 輸送展示
- ヤマト運輸株式会社
- アートディレクション+デザイン/メインヴィジュアル/ウェブデザイン
- 前田晃伸、黒木晃、庄野祐輔(MAEDA DESIGN LLC.)
- メインヴィジュアル CG
- 浮舌大輔
- メインヴィジュアルアルゴリズム
- 北千住デザイン
- 会場サイン・展示室マップデザイン
- 畑ユリエ
お問い合わせ
こちらをご参照ください。
- 公式HP
- www.yebizo.com
- 公式SNS
- X(旧Twitter):twitter.com/topmuseum Instagram:instagram.com/yebizo
- お問い合わせ
- 03-3280-0099(代表)