ウロボロスは、古代の象徴で、自らの尾を食べる蛇を表し、死と再生の終わりのないサイクルを意味する。ガザから始まる実験的な本作は、LA、モハーヴェ砂漠、マテラ、マルティーナ・フランカ、そしてブルターニュという異なる場所で、主人公が別れの痛みを繰り返し体験することで、風景の中に刻まれたその痛みや歴史のなかで繰り返される破壊、忘却、再生を浮き彫りにする。終わりを始まりと見立て、永遠の帰還という主題を探求し、すべてが失われた時にいかに前進するかを模索する。バスマ・アルシャリフ監督の初長編であり、第11回恵比寿映像祭でアジア初上映された本作を特別に再上映する。パレスチナにおける極めて困難な時期に、現在目の当たりとするガザでの壊滅的な暴力を前に、改めてその発端を探る機会としたい。

協力：映画を通してパレスチナに出会う市民上映会/戸田ひかる