写真と映像を用いたピオトロフスカの3つのシリーズが映し出すイメージは、それぞれ一見馴染みのあるような風景、生活の一場面やモノを対象としながら、身振りや行為などの視点によって、緊張感と新しい意味を生み出す。飼育された動物を遊ばせ、調教するために使われる玩具やオブジェで遊ぶ人々をとらえた〈アニマル・エンリッチメント〉は、動物のための遊具で人間が楽しみ遊ぶ皮肉をシニカルかつエレガントに映しだす。動物を支配するために作られた人工的な動物園の空虚な風景を記録した〈囲い（Enxlosures）〉や、人々が日常生活のなかで、家具や調度品を使って避難所を作る〈シェルター〉。人間と動物、家庭内の心理的空間などに注目することで、社会のシステムの中では見えにくい権力構造や支配の関係を際立たせようとしている。