韓国現代美術の息吹を!明日はヂョン・ヨンドウの関連トークも。

キュレーターズ eye,未分類 — yebizo @ 10:49 PM

 

映像祭の上映プログラムでは、これまでにもオーストラリア、クロアチア、
中国などの作家の作品を特集してきましたが、今回は韓国にフォーカスし、
現代美術アーティストの映像作品を紹介します。

「ディープストラクチャー」と題し、若手からミッドキャリアまでの
活躍目覚ましい6人の韓国人アーティストによる8作品は、
いずれも独自の視点から韓国の現在の姿をとらえ、その深層を映し出しています。

日常の生活用品を用いた造形、インスタレーションで知られる
ヤン・へギュの「開かれていく場所」は、日常の風景の中で目にするものが、
抽象彫刻やインスタレーションへと変容していく過程を彷彿とさせる映像作品です。

ヂョン・ヨンドゥの「空中庭園」では、虚実を織り交ぜた逸話が
歴史的建造物や本物の山々を借景とした映像の中で語られていきます。 

社会的、政治的な現状をテーマとするパフォーマンスの記録を作品化する
イム・ミヌクは、「ポータブルキーパー」と「手の重さ」の2作品を出品。

韓国に特有なユニークな釣り堀を舞台にしたク・ドンヒの「キングフィッシュ」には、
失われつつある情景へのオマージュやそこに繰り広げられる人間模様へのアイロニーが込められています。

アーティストの集う街へと生まれ変わりつつある、ソウル市内の
古い工場街を描いたチェ・ワンジュの「文來(糸車)」は
ドキュメンタリーの手法に演劇的な要素を加えて力強く描き出しています。

ナム・ファーヨンの「ピンピンピン」「内なるゴーストを傷つけないように」で
繰り広げられる、儀式のように軽やかで詩的なパフォーマンスは、瑞々しい感性に溢れています。

映像祭会期中にはヂョン・ヨンドウ、イム・ミヌクが来日し、下記の予定で関連企画に参加します。

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韓国作家関連企画
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〇ヂョン・ヨンドウ: (※展示部門にも出品)
2月10日の上映会に来場、2月11日にAIT(アーツイニシアティブトウキョウ)でトークを行います。
http://www.yebizo.com/#pg_partner11
http://www.a-i-t.net/ja/future_archives/2012/01/4ait-artist-talk-58.php

〇イム・ミヌク
2月19日には16:00~ラウンジトークを行い、その後18:30からの上映会にも来場します。
http://www.yebizo.com/#pg_talk10
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是非、この機会に上映プログラムをご覧いただき、トークなどの貴重な機会に
作家と直接触れ合い、最新の韓国現代美術の息吹を感じてください。[H.K]

ヂョン・ヨンドゥ《空中庭園》 JUNG Yeondoo, Hanging Garden /2009/15分43秒/韓国語※日本語字幕付(Dialogues in Korean)

ヂョン・ヨンドゥ《空中庭園》 JUNG Yeondoo, Hanging Garden /2009/15分43秒/韓国語※日本語字幕付(Dialogues in Korean)

 

イム・ミヌク《ポータブルキーパー》 LIM Minouk, Portable Keeper/2009/12分53秒

イム・ミヌク《ポータブルキーパー》 LIM Minouk, Portable Keeper/2009/12分53秒

キュレーターズeye: シー・ディス・サウンド

キュレーターズ eye,未分類 — yebizo @ 11:47 PM

 

今年の映像祭では、「映像のフィジカル」を出発点に、ライブイベント
「シー・ディス・サウンド」を開催。その企画を実現させたキュレーターからの
”キュレーターズeye”をお知らせ致します。

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ここでは、ライブだけに特別に参加する作家にフォーカスして紹介していきます。
映像と音の関係を考えた時に、映像を補う要素として
音が使われること多いかと思いますが、今回出演するevalaは、
その関係を逆転させたようなライブパフォーマンスを見せてくれます。

今回の「シー・ディス・サウンド」の象徴とも言うべきそのパフォーマンスは、
「闇の中で見る映画」のような、視覚的な要素がない真っ暗な空間で、
音のみを使って観客のイマジネーションの中に映像を映し出して行く立体音響作品です。

通常、音は水の波紋のように、音が鳴った場所から広がって行きますが、
立体音響空間では、何もない空間から音が聞こえるような特異な空間が
立ち現れ、新しい没入感を生み出します。

また、「シー・ディス・サウンド」のもう一方の側面である、映像と音の関係性を
独自の切り口で表現する出演者としてドラびでおが参加します。

ドラびでおは、ドラムに特殊な装置を取り付け、ドラムをたたくことで、
再生している映像をコントロールできる装置を開発し、政治家の演説や
映画のワンシーンなどをシニカルにモンタージュしてきました。
今回は、演奏装置をドラムからDORAnomeという新開発のディバイスとともに登場します。

そして、無数の素粒子の運動を映像的に表現するTypingmonkeysは
今回、NECのFull HDプロジェクターを使用し、より高密度・高精細な
映像表現を見せてくれるでしょう。

今回、トップバッターで出演する和田永のブラウン管を楽器に変える
《Braun Tube Jazz Band》は、電気的なシグナルによって生成される
映像のフィジビリティを体現してくれます。

その他、恵比寿映像祭のシンポジウムや展示などにも出演する
松井茂と長嶌寛幸による新ユニットやexonemo、
DJピロピロa.k.a.大木裕之らのパフォーマンスも見逃せません。
どうぞお楽しみに。 [J.Y]

 

(左上)evala(右上)ドラびでお(右下)Typingmonkeys(左下)和田永

(左上)evala(右上)ドラびでお(右下)Typingmonkeys(左下)和田永

 

恵比寿映像祭公式ページ ライブイベント「シー・ディス・サウンド」
http://www.yebizo.com/#pg_live

●チケット情報
http://www.yebizo.com/#contents/info3

●日時:2012年2月18日(土)17:00‐20:20(開場:16:30)
●会場:ザ・ガーデンルーム(恵比寿ガーデンプレイス内)

定員制につき有料:クロージング・ライヴ=前売2,000円 当日2,500円/定員350名/自由席/入場整理番号付

山形国際ドキュメンタリー映画祭2009より

キュレーターズ eye,未分類 — yebizo @ 9:55 PM

第1回恵比寿映像祭のリンク上映プログラム、9時間長編ドキュメンタリー
《鉄西区》でご協力をいただいた、山形国際ドキュメンタリー映画祭
(YIDFF)
に行ってきました。

1989年から2年に1回開催されてきたYIDFFも、今年で20年目。地元の根強い
声援のみならず、全国各地から映画を愛する人々がたくさん集まり、
8日間で122作品が上映され、たくさんのイヴェントやシンポジウムも
開催されました。

ネットワーク企画では、第1回恵比寿映像祭のトークイヴェントでご参加頂いた
松本俊夫さん
監修によるオムニバス映画のイヴェントが行われました。
オムニバス映画には、昨年のイマジネーション展の参加作家、狩野志歩さん
の新作もあります。

オムニバス映画「見るということ」上映とシンポジウム
10月13日(火)18:30(佐野画廊プレゼンツ/松本俊夫監修/
参加作家:加藤到、大木裕之、前田真二郎、奥野邦利、狩野志歩、稲垣佳奈子)

6人の映像作家が、「見る」をテーマに取り組んだ作品群。
文字通りの「見るということ」から、「見えないこととは?」「どのように観客
に見せるのか?」といったことに至るまで、アートフィルム、実験映像を
再考する上でも、新鮮な議論となったのではないでしょうか。
この企画は、現在出版を予定中とのことで、発売が楽しみです。

山形は各上映会後のアーティスト・トークも充実していて、会場を交えた白熱し
た議論、いろいろな山形マジックを体験することができます。
まだいらしたことのない方は、ぜひ2年後の開催に訪問してみてください。

「見るということ」シンポジウムから

「見るということ」シンポジウムから

「見るということ」集合写真から

「見るということ」集合写真から

「見るということ」集合写真に入りそびれた大木裕之さん

「見るということ」集合写真に入りそびれた大木裕之さん

韓国のアートシーン ~ プラットフォーム2009より ~

キュレーターズ eye,未分類 — admin @ 12:17 PM

9月9日から出張で、ソウル(韓国)に行ってきました。
滞在期間中にはちょうどプラットフォーム2009というアートイベントが開催されていました。
プラットフォームは2007年に始まって今回で3回目を迎える国際的なイベントです。

昨年開催された第2回目では、アートソンジェ・センターを中心として
安国(アングク)、仁寺洞(インサドン)エリアにあるギャラリーや
アートセンターのスペースを使った連携事業としてソウルのアートシーンを
面的に紹介するなど、運営手法にも特色のあるイベントでした。

第3回目となる今回は、かつて韓国軍の情報機関の中枢であった
「機務司(キムサ)」と呼ばれる景福宮(キョンボック)の向かいに
ある建物を中心として開催されています。「 機務司 」の内部は、
展示のために特に手を入れられた様子もなく、特に地階は照明がない状態で、
今回のテーマである「Void of Memory(記憶の空白)」を
文字通り感じさせるような空間になっていました。

展示作品の中ではルナ・イスラムのソーマトロープを撮影したフィルム作品と
米田知子のゾルゲ事件をモチーフにした写真作品が印象に残りました。
ですが、この二人のものも含めて展示作品の多くは新作ではなく、
このイベントの出発点であり目的でもあるのは、やはり建物自体なのでしょう。

「機務司」は、国立現代美術館の分館として2012年にオープンすることに
なっているそうです。 「記憶の空白」を「意味の充溢」であるアートで
埋めようというわけですが、光州ビエンナーレといい韓国のアートシーンが
いかに政治や経済と深くかかわっているのかを感じました。

「越後妻有アートトリエンナーレ2009」に行ってきました!

キュレーターズ eye,未分類 — yebizo @ 10:09 AM

先週末、「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ2009」に行ってきました。
2000年に始まり、今年で4回目を迎えるこのトリエンナーレは、新潟県の十日町市、
津南町を中心とした広大なエリアに約200点の作品を点在させるというアートイベントです。

世界中で開催されている多くのビエンナーレ、トリエンナーレと
呼ばれる大規模な国際展が都市を舞台に実施されているのに対して、
「大地の芸術祭」は山間部や農村部など
人口減少や経済格差の問題を抱える地域で行われています。

毎回多くの国際的なアーティストが参加するこの「大地の芸術祭」ですが、
今回はジャネット・カーディフ&ジョージ・ビュレス・ミラーが出品しています。

前回の恵比寿映像祭での大規模なインスタレーション「ベルリン・ファイルズ」や
同時期にメゾン・エルメスで展示された「40パート・モテット」の記憶も新しい
彼らの新作「ストーム・ルーム」が、十日町エリアの一軒家で見ることができます。

私が訪れた日は朝から雨が降ったり止んだりの天候だったこともあり、
作品がより効果的に体験できたように思います。
周りで見ていた人たちのリアクションも良かったですね。

会場に使われている家はもともと歯科医院だったということで、
その当時の床や壁、備品の一部などが残っていていろいろと想像をかき立ててくれます。

とても人気のある作品のようで人が多く、
全体像がわかる写真撮影が出来ませんでしたが
この作品は実際に体験してこその作品だと思います。

「大地の芸術」はまだまだ開催中ですので、ぜひ訪問してみてください!

展覧会が、空間ではなくて、時間を占めるものだとしたら?

キュレーターズ eye,未分類 — yebizo @ 1:50 PM

毎年スイスのバーゼルで行われる世界最大級の現代美術のアートフェア
「アートバーゼル」の開催にあわせて、市内のバーゼル劇場で
「Il Tempo del Postino(郵便夫の時間)」というイヴェントが
6月10日から12日まで行われ、話題になりました。

キュレーターのハンス・ウルリッヒ・オブリストとアーティストの
フィリップ・パレーノ、アンリ・サラ、リクリット・ディラヴァーニャが中心となって企画し、
今をときめくアーティストたちが集い、劇場空間を使って行う「グループ・ショウ」。
2007年マンチェスターでの初演を経て、再アレンジされたものですが、
制作コストがかかり過ぎるため今後の巡回はないだろうという
ふれこみもあって、200スイスフラン(約18,000円)という料金にも関わらず
世界中から集ったアート関係者で客席は埋め尽くされました。

会場が大いに盛り上がったのは、ダグ・エイケンの
《ハンドルがあがりハンマーが振り下ろされる》という作品。
暗い客席の各所に歌い手たちが歩み出て、リズミカルに数字を
数え上げていくのですが、それが、オークションで金額を
つり上げるコールになぞらえられているのです。観客である
コレクターやギャラリストたちは、瞬時にそれを了解し、
次々に、「もっともっと」と値を吊り上げるジェスチャーが
自然にあちこちからあがります。次第にヒートアップする
歌声とともに、金額はどんどんあがり異様な熱気が空間を支配します。

その間にステージの照明が次第に明るくなり、
高楊する客席を照らし出し、そこにいるのは誰かを暴きだしていくという趣向。
楽しく盛り上がる一方で、市場原理の支配を免れ得ない
今日のアート状況の一端を、皮肉にも描き出している切ない作品でもありました。

ハプニングやイヴェント、パフォーマンス・アートの歴史に
照らし合わせれば、むしろクラシックな印象の演目も少なく
ありませんでしたが、アーティストたちが集って一緒に何かを
作るという試み自体は、もっと試みられてもいいようにも思います。
個人的には劇場にかかった赤いカーテンが生演奏にあわせて
舞い踊るティノ・セーガルの作品がとても美しく印象に残りました。

恵比寿映像祭のプレ・イヴェントとして行った「映像をめぐる7夜」も、
映像の時間性に着目し、映像に関わる7つのイヴェントを7晩に
わたりグループ展として構成するものでした。
映像に限らず、あらためて体験や時間性といったものに
アートの可能性を見出そうという動きがあるようですね。

アートバーゼル初日 誰よりも早く良い作品を買いつけようと世界中から人々が集う

アートバーゼル初日 誰よりも早く良い作品を買いつけようと世界中から人々が集う

会場ロビー

会場ロビー

マシュー・バーニーらの作品―休憩時間中、劇場ロビーで楽団の演奏が。

マシュー・バーニーらの作品―休憩時間中、劇場ロビーで楽団の演奏が。

終演後、ロビーで挨拶をするピエール・ユイグのキャラクター(ムックみたい)

終演後、ロビーで挨拶をするピエール・ユイグのキャラクター(ムックみたい)

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