3/5(木) シンポジウム「映像と着色――記憶のタイムマシーン」
シンポジウム「映像と着色――記憶のタイムマシーン」 3/5(木)
3/5(木)にシンポジウム「映像と着色――記憶のタイムマシーン」が開催されました。
デジタル画像処理技術によってモノクロフィルムをカラー化する試みが盛んになり始めた昨今、歴史的映像の蘇生や復元の意義、そしてそこに含まれる問題点を論じる会となりました。
フランスからお招きした、「Apocalypse(黙示録)」プロデューサーであるルイ・ヴォードビルさんは、1995年に発見されたカラーで撮影された第二次世界大戦の記録映像と、それまで参照されていたモノクロフィルムの戦争映像との印象の違いなどを踏まえ、今までと違った形で歴史を語ることができるのではと考え、テレビ番組「Apocalypse(黙示録)」の製作に至った、というエピソードを語っていただきました。また、リアリティのあるカラー化を進めるにあたり、例えば軍服の色を決めるのに100種類以上のカラーバンクを参照するなど、時代考証も含めたカラー化の実践についても説明いただきました。
最後には、ヒトラーのバクー油田侵攻の「カラー化」映像も、世界初公開で一部紹介していただきました。
続いてのプレゼンテーションは、昨年の放送とともに大反響を呼んだ、NHKスペシャル「カラーでよみがえる東京~不死鳥都市の100年~」を手掛けたチーフ・ディレクターである岩田真治さん。モノクロ映像をカラー化するプロセスや時代考証の重要性を、実際の番組映像を交えて紹介していただきました。大正6年(1917)撮影の「東京見物」をはじめ、学徒出陣や二・二六事件、宝塚のレビューの映像などを実際にカラー化したプロセスや番組制作時のエピソードなどを紹介していただきました。
社会学者の吉見俊哉さんには、デジタル時代における映像のアーカイヴ化とその利用について、自身の大学でのプロジェクトを紹介しながら語っていただきました。公共機関として映像のアーカイブシステムを構築する必要性、またアナログからデジタル化する際の法的整備などの必要性をプレゼンいただきました。
3者のプレゼンテーションの後、池村俊郎氏(日仏会館文化事業委員会、帝京大学経済学部教授)の司会によりパネルディスカッションが行われ、デジタル化のよる映像のアーカイヴ化やカラー化にまつわる可能性、問題点など、それぞれの立場から意見が交わされました。
[シンポジウム]映像と着色――記憶のタイムマシーン
日時:平成27年3月5日(木) 18:30~20:30
パネリスト:
岩田真治(NHK制作局第1制作センター チーフ・ディレクター)
ルイ・ヴォードビル(「Apocalypse(黙示録)」プロデューサー)
吉見俊哉(社会学者、東京大学大学院情報学環教授)
司会:
池村俊郎(日仏会館 文化事業委員会、帝京大学経済学部教授)
モデレーター:
田坂博子(恵比寿映像祭キュレーター)
[日仏会館共催企画]