韓国のアートシーン ~ プラットフォーム2009より ~
9月9日から出張で、ソウル(韓国)に行ってきました。
滞在期間中にはちょうどプラットフォーム2009というアートイベントが開催されていました。
プラットフォームは2007年に始まって今回で3回目を迎える国際的なイベントです。
昨年開催された第2回目では、アートソンジェ・センターを中心として
安国(アングク)、仁寺洞(インサドン)エリアにあるギャラリーや
アートセンターのスペースを使った連携事業としてソウルのアートシーンを
面的に紹介するなど、運営手法にも特色のあるイベントでした。
第3回目となる今回は、かつて韓国軍の情報機関の中枢であった
「機務司(キムサ)」と呼ばれる景福宮(キョンボック)の向かいに
ある建物を中心として開催されています。「 機務司 」の内部は、
展示のために特に手を入れられた様子もなく、特に地階は照明がない状態で、
今回のテーマである「Void of Memory(記憶の空白)」を
文字通り感じさせるような空間になっていました。
展示作品の中ではルナ・イスラムのソーマトロープを撮影したフィルム作品と
米田知子のゾルゲ事件をモチーフにした写真作品が印象に残りました。
ですが、この二人のものも含めて展示作品の多くは新作ではなく、
このイベントの出発点であり目的でもあるのは、やはり建物自体なのでしょう。
「機務司」は、国立現代美術館の分館として2012年にオープンすることに
なっているそうです。 「記憶の空白」を「意味の充溢」であるアートで
埋めようというわけですが、光州ビエンナーレといい韓国のアートシーンが
いかに政治や経済と深くかかわっているのかを感じました。