今年のみどころ1:物質性と身体性(フィジカリティ)

 

第4回の総合テーマは、「映像のフィジカル」。

映像の魅力を考えるうえで
のキーワードとなる「フィジカリティ」という言葉には、
大きく二つの意味が含まれています。

ひとつは、映像を成り立たせている「物質性」です。
どんな機材や技術をいかに使っているか、
あるいは、どんな状況(スクリーンの大きさや材質、
部屋の仕立てや音響効果、あるいは
作品の流通・共有の方法など)が選ばれているか
といった即物的な面を比較することで、
作品の愉しみ方や理解がさらに広がります。

もうひとつの意味は、「身体性」です。
映像は見る人がいなくては成り立ちません。
私たちは、さまざまな映像体験を通じて、
映像の中でしかありえない空間や時間を感じとったり、
知識だけではなく、意識や身体感覚が新しく塗り
替えられるような経験をしているはずです。

映像の豊かさと奥行きを、特に「物質性」と
「身体性」の両面から測ることができる、
そんな作品が、今年は特に選ばれています。

 

伊藤隆介《Film Studies オデッサの階段》2006 ミクストメディア・インスタレーション/東京都写真美術館蔵

伊藤隆介《Film Studies オデッサの階段》2006 ミクストメディア・インスタレーション/東京都写真美術館蔵

0 Comments

No comments yet.

RSS feed for comments on this post.

Sorry, the comment form is closed at this time.

Copyright (C) 2008 Tokyo Metropolitan Museum of Photography All Rights Reserved.