今年のみどころ4:記憶・記録・共有(アーカイヴ)

 

今年の見どころ4つ目は、映像の記録性と共有をめぐる主題です。
消えゆく記録を留める方法として、映像の役割を考えることは、
その可能性と困難さの両方を私たちに突きつけます。

高度経済成長期の日本を伝える記録としても貴重な文化遺産
である往年の科学映画や、アパルトヘイト政策撤廃後の
南アフリカ共和国にあって集団の記憶を個人の表現として
引き受けるウィリアム・ケントリッジのアニメーション作品、
異なる習慣や文化背景を映像で記録する映像人類学の
最新動向の特集上映、また東北大震災の記憶を、
どのように記録・共有することができるかという切実な課題とともに、
口承記録による歴史記述(オーラル・ヒストリー)のあり方をも問う
《なみのおと》の上映など、この主題に向かうアプローチはさまざまです。

あわせて、日進月歩のデジタル化の波に対して、映像をどのように
保存・継承するのかというアーカイヴの課題を、非商業映画やアート
の分野で実践してきた国内外の三組織のケーススタディとともに
考察するシンポジウムも開催します。

 

ウィリアム・ケントリッジ《アザー・フェイシズ》のための素描、2011[参考図版]

ウィリアム・ケントリッジ《アザー・フェイシズ》のための素描、2011[参考図版]

濱口竜介、酒井耕《なみのおと》

濱口竜介、酒井耕《なみのおと》

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