〈時間の箱〉と名付けられた本作は、作家が近年訪れた場所を記録した彫刻的作品で、写真アーカイヴを利用して制作されている。本作には、5種類の透明なアクリルの箱に、2分から1年までの時間を凝縮して撮影した52枚の画像が収められている。この写真群は、時間がどのように体験され、知覚されるのかについて、さまざまな視点を浮かび上がらせる。短編映画、長編映画、インスタレーション、パフォーマンスなど、多様な映像表現に取り組んできたウィーラセタクンは、かつて自らの長編映画に関連して、「観客が映画の時間からどのような影響を受け、特定の感情を引き起こすことができるかが重要だ」と述べている。19世紀に誕生した映画が、記録媒体としての役割だけでなく、動く絵としての体験を通じて観客を魅了してきたように、本作もまた、映像特有の「時間」への深い探求を示している。