カウィータ・ヴァタナジャンクールは、現代の過酷な労働状況と物質主義の交差性を浮き彫りにし、身体を用いたパフォーマンスを記録して映像作品を制作してきた。《A Symphony Dyed Blue》は、2017年に公開された洋服工場の流した化学染料によって汚染される川を記録したドキュメンタリー《River Blue》にインスパイアされた作品である。青い染料と白い泡で満たされた水のなかで、彼女は自身の身体を金属として体を極端に引っ張りながら糸を紡いだ。映像からは水の音や何かにぶつけられた金属の音が聞こえ、現代社会が進化とともにもたらした、自然環境の問題についても問いかける。本祭では、2階展示室だけでなく、1階にも彼女の代表作の一つ《The Toilet》が展示される。《The Toilet》は家庭内の女性の姿を描写し、彼女は身体を家事のための道具の比喩として扱う。絵画のような縦構図でカラフルな表現をする反面、女性が家事において担っている役割を自身の身体によって体現する映像作品である。