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ウェブが出現した90年代半ばに作られた作品で、デジタルメディア上でのイメージと文字の相互作用のありかを問いかける作品である。これはまた「コンピュータが書籍を潰すのか?」という問いかけの是非を考えるための実験装置でもある。本を読むという行為は、文字の連なりが作り出す意味を読み取り、脳内でそれらを相互作用させるわけだが、それには前提となる知識や経験がとても重要になる。同時に、その相互作用が経験となって蓄積されていく。しかし、その前段階には環境との直接的な相互作用を通した経験があり、それが文字を生み出してきた。これは詩人の仕事である。
この作品はこの詩人の仕事の現場を違ったメディウム上で再現することを目論んでいる。それは、文字以前のイメージとの相互作用である。とはいえ、ここでの環境は制限されていて、さらに現実世界ではありえないインターフェースが実装されているために、ここでしか経験できない、言葉によらない意味の発生現場が配備されている。(F.M.)
マイグレーション制作:藤幡正樹、川嶋岳史、東京都写真美術館
令和3年度文化芸術振興費補助金メディア芸術アーカイブ推進支援事業採択
藤幡正樹《Beyond Pages》
1995–97年
東京都写真美術館蔵