-
SHARE
- X (Twitter)
8ミリフィルムで撮影された《Social Circles》では、車窓からの風景や海水に浮かぶ石、岸壁など、人影の少ない自然を映し出す映像に、語り手の独白が字幕として重ねられている。その語りは、作家自身の主観的な言葉でありながら、観客や映像そのものの声のようにも感じられる。友人や家族との交流によって作られる社会的なつながりは、ソーシャルメディアの普及によって世界中に広がっているが、一方で他者との対話はより複雑になっている。斎藤は、本作の映像詩的なアプローチを通じて、「他者」や「自分」という掴みどころのない存在について、コミュニケーションや関係性を考えるきっかけを生み出している。《またね》では、留守番電話に残されたメッセージをもとに、不在の人物がどのような人間であるかを想像させ、他者に投影されるイメージについて探求している。