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石原香絵

石原香絵 / Ishihara kae
1973年生まれ。NPO法人映画保存協会(FPS)代表[http://www.filmpres.org]。名古屋学芸大学映像メディア学科非常勤講師。現在、オーストラリア・アーキビスト協会発行の『キーピング・アーカイブズ日本語版』を勉誠出版のウェブサイト内[http://bensei.jp]で連載中。「世界/日本の映像アーカイブ事情」(『映像にやどる宗教 宗教をうつす映像』 せりか書房 2011)寄稿。

Q1. あなたにとってもっとも忘れがたい映像はなんですか?
A. 二つありまして、一つはフェリーニの『サテリコン』です(各巻キューマークの前後)。もう一つは今から8年ほど前に調査したニュース映画で、35mmナイトレートの「同盟ニュース」(同盟通信社1938年)だったと思います。やや劣化していて、号数は不明。音声を確認していないのでニュースの内容も不明ですが、若い日本兵がちょうど船に乗り込むところが忘れられません。

Q2. 忘れがたい映像について理由を教えて下さい
A.  『サテリコン』は、生まれて初めて映写した映画だからです。映写の仕組みも何も知らないまま、「もう少ししたら黒い丸が右端に出るから、その瞬間にこのボタンを押して」と教わり、心臓をばくばくさせながらシネスコの右端を、それこそ穴があくほど凝視していました。スタートボタンの感触まで記憶に残っています。
ニュース映画は、ゆっくり巻き取りながら情報を読み取る作業の途中でした。単なる錯覚なのですが、フレームの中からこちらの様子を不安そうにうかがっている軍服姿の若い人と目が合ったような気がして、その日本兵と、対面で撮影しているキャメラマンと、65年後の私という3者の視線が重なった瞬間の感覚が、今でもリワンダーの前に座ると蘇ってきます。

Q3. あなたにとって「まだ見ぬ」映像とはなんですか?
A. 飼猫が時折、寝言をつぶやきながら足を動かしたりするので、その度にいったいどんな夢をみているのかと気になります。最近、夢でみたことを映像として再現できる技術があると知り(2011年10月2日付の朝日新聞の記事「夢が撮られちゃう?! 米研究員ら、脳活動から映像復元」)、それ以来「未だ見ぬ」映像は眠っているときにみる夢の録画です。この技術ではまだぼんやりした映像にしかならないようですけれど、近い将来、鮮明な映像として夢を保存できるようになるのでしょうか。

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