第3夜 映像の知覚映像をめぐる7夜

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今回のパフォーマンスは2作品あって、それぞれを豊嶋康子さんと同時共演で行います。最初は二人が別々の作品を同時に行いながら、そこにある種の共鳴を鳴らすという試み。《あいうえおん六面相》(初演1993年)は、既成のヴィデオとライヴのインターメディアで、「ずれ」がテーマ。これはジャック・デリダのいう「差延」(相違と遅延の両方)を実験するものです。ヴィデオからの「あいうえおん」を発声する誇張された顔の映像と、ライヴのほぼ同じサイズの顔のイメージが、手元のミキサーで即興的に合成され、ライヴの音声が映像とシンクロしていないヴィデオの音声をシンクロさせます。(しかし観客には両者の声はリミックスして聞こえる。)

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次は《私があなたを見るようにあなたは私を見る》というヴィデオ・パフォーマンス。これまで私一人で行ってきたパフォーマンスを,今回は豊嶋さんと共演。「私」と「あなた」の一人二役が、二人二役になるが、それぞれが「私」と「あなた」の一人二役を演じるので、複数の二人ずつの「私」と「あなた」がいることになります。2台ずつのカメラとモニターが向き合って、その間を二人の「私」と「あなた」が、この文を繰り返し発声しながら往復する。人物同士の視線と同時に、カメラとモニター同士と三者をクロス・オーバーする視線が出会う。文字、映像、音声、行為が重なり合うマルチ・メディアのパフォーマンス。(飯村) [*パンフレットより]

飯村隆彦

飯村隆彦/1937年生まれ。
1960年に自主映画製作をはじめ、分析的なアプローチで、数々のフィルム、ヴィデオ、インスタレーション作品を手がけてきた先駆的存在。ニューヨーク近代美術館、ポンピドゥー・センターでの上映個展をはじめ、国際的に実験映画製作、発表を重ねる。

豊嶋康子

豊嶋康子/1967年生まれ。
時に個人投資や生命保険などといった社会制度までも作品にとりこんで、「在る」ことと「表現する」こと、それらをめぐるシステムを執拗に問う美術家。

大江直哉

大江直哉/1983年生まれ。
早稲田大学川口芸術学校卒業。2006年、大槻竜二、工藤泰士らとメディアアートユニット“Rhizome TV”を結成。2007年メディア論を中心とした映像作品「FLAT MEDIA SYSTEM」を制作。2007年かわさきショートフィルムフェスティバルにて、「それは表層の庭で失われた」が大塚ベバレジ賞受賞。